悩んでいる人や落ち込んでいる人に対して、「くよくよするな」「ネガティブ思考を捨てて、ポジティブ思考になろう」、、という言葉がよく使われます。
私が心の病になり、救いを求めて読んでいた何十冊もの自己啓発書の類にもこの種類の言葉が表現を変えて、たくさん出て来ました。
すぐにネガティブ思考に囚われ、苦しむ傾向のあった当時の私にはこの種類のいわゆる励ましの言葉はある種のカンフル剤の効果があり、読後には「そうか、そうだよね、クヨクヨち落ち込んでいないで頑張ろう」と思わせて一時的に元気を注入してもらえました。
(しばらくするとすぐに「そんな簡単にできないよ」と落ち込む自分に戻るのがルーティンのようになっていましたが💦)
しかし、くよくよと考えることを悪として、「自動的にポジティブ思考になる」、、、これは「自動的にネガティブ思考になる」という状況が反転しただけのものであり、自分の心をコントロールされていない、、という意味ではコインの裏表であり、実は同じものであったりします。
大切なのはポジティブであることではなく、ネガティブとポジティブを時と場合、状況に応じて自分で選択できる状態にあること、、そういう自分自身を作ることです。
ネガティブ思考は時には心の病や自死の元凶のように語られ、嫌われる傾向にありますが、人が生き延びて行くためには必ず必要な思考パターンです。
一説には人類が生き延びて行くために、ネガティブ思考は生まれついて人類にインストールされていると言われています。
防災対策で考えて見るとわかりやすいと思います。
「地震なんて起きるわけない心配するな。何とかなる」と気楽に考えて防災対策を一切しないポジティブ思考の人と、「いつ地震が起きてもおかしくない」と心配して準備をしておくネガティブ思考の人がいたとして、どちらが生き延びる確率が高いかは明らかですよね。
人間、ネガティブ思考でいなければならない場面は必ずあります。ネガティブ思考を自動的に排除してしまう事はある意味、危険とも言えます。
自分の周囲に何がしか出来事が起きた時、自動的にネガティブもしくはポジティブに行くのではなく、一端フラットな状態で受け止めて、ここではどちらでとらえるべきか考えて振り分けて行く、、これを「刺激と反応の間にスペースを作る」、、という表現をします。
つまり、ポジティブであることが必要なのではなく、ネガとポジを状況に応じて、自分で選択できるフラットな自分自身であることが大切だという事です。
そういう自分であるためにどうしていくか、、についてはおいおいお話出来ればと思います。